Vol.1

  • 熊﨑 未紗子

私が今、生活している国 ブルキナファソは西アフリカにあります。ガーナ、ニジェール、マリ、コートジボワールなど6つの国に囲まれた内陸国です。私が住んでいるのは、首都から230kmほど離れたところにある Leo という町です。CSPSと呼ばれている地域の診療所と、CMAという簡単なオペも可能な施設が併設された病院、今はその二つの施設を中心に活動しています。
・・・といっても、まだ充分に言葉もできず、日本とは大きく違うブルキナファソの医療に戸惑うことばかり。そんな毎日の中で見たこと、感じたことをいくつか書きます。

ブルキナファソ Vol.1 写真

診療所には毎日たくさんの患者さんが来ます。診療所の近くに住む患者さんもいれば、10km以上離れた近隣の村から歩いて受診に来る人もいます。
多い疾患はマラリアと寄生虫症、それから創傷です。今は雨季なので、マラリア患者さんは乾季の3倍以上にもなり診療所内はすごく混み合っています。マラリアの正確な診断は血液検査をしなければ出ませんが、ここには検査をする設備が整っていません。明らかにマラリアの症状がある患者さんもいれば、鼻風邪のような症状のものまでほとんどがマラリアと診断されるので、疑問を感じることもありますが、マラリアが重症化して命を落とす人たちも実際多くいるので、リスクを考えるとマラリアの治療が第一選択になることも納得できます。そして、実際それで治っているようだし…。
医師不足の(特に地方や農村部)のこの国、診療所には医師はいません。各診療所に診断マニュアルが置いてあって、看護師・助産師が診察・診断・処方・治療・分娩介助すべて行います。看護師は住民にとって医師のような存在で、多くの仕事をこなしています。
なので私も近所の人から、『耳が痛いんだけど、何の病気?』 『マラリアになったみたいだから、薬を処方してほしい』と言われたりすることもあります。
また、ブルキナの看護師の中には、国家看護師になった後、専門的な研修を受けた手術看護師・麻酔科看護師・小児科専門看護師もいます。日本の認定看護師みたいな感じですが、やはり、医師不足のブルキナ。麻酔科看護師と手術看護師とで開腹手術(ヘルニア・虫垂炎など)もしてしまいます。手術看護師のOPEに立ち会わせてもらいましたが、私は介助すら十分できないのに彼らは難なくOPEをこなしていました。(この日は虫垂炎とヘルニアのOPEが5件連続であって、3人の手術看護師が分担してお昼頃にはすべて終了してました。)
看護師の数さえ十分でないのに、それ以上に医師がいない…。
看護師が医師のような役目を果たしている分、患者さんの排せつの介助等は付き添っている家族の仕事。動ける患者さんでも、意識のない患者さんでも同じなので、家族だけではうまく行うことができず、汚れが残っているまま…。おむつもないし、それに代わるものも買うことができないので、その患者さんのおしりの下にはダンボール紙が敷いてありました。
体位変換もされていなくて一日中同じ向きで寝かされたまま。
家族と一緒に体位変換をさせてもらうと、薄いマットレスは患者さんの形でくぼんでいました。
またここでは、ディスポの手袋一枚、注射のシリンジ一本まで処方箋を書いて、患者さんの家族に買って来てもらわないといけません。介助などで手袋を使うということは、家族の経済的負担が増すということ。実際、”これ以上お金が払うことができないから”と言って、治療の途中で帰っていく人もたくさんいます。

ブルキナファソ Vol.1 写真2

患者さんのベッドが置かれている部屋は薄暗く、いろんな匂いがこびりついています。
療養環境が整っていることがどれほど患者さんにとって重要か。あじさい1年の時に読んだ、看護覚え書きでナイチンゲールが言いたかったことはこのことだったのか!!と、実感させられます。
わたしはここで、看護師と一緒に付近の村に予防接種へ行ったり、妊婦健診や乳児の体重測定、一般診療の介助などをしています。今、私ができることはごく限られていますが、毎日いろんな新しいことを知って、考えさせられて、少しずつですが、看護スタッフと地域の健康問題や病院の衛生環境などについて話したりしています。

気候は、連日40度を超えていた乾季が終わり、雨季の今は週に3・4回暴風とともに豪雨が降ります。アスファルトの道が少ないので、雨上がりには大きな水たまり。我が家の前にもちょっとした小川が登場します。
生活についてはいっぱい書きたいことがあるので、分けて書いてくことにします。
今回はブルキナの『食』について。
主食はご飯も食べられていますが、それよりもよく食べられているのが“トウ”と呼ばれる、トウモロコシや粟や稗の粉をお湯で練り上げ固めたものです。
それに野菜や落花生、バオバブの葉などが入ったソースをかけて食べます。

ブルキナファソ Vol.1 写真3

そのほかにも、リグラと呼ばれる炊き込みごはんのようなものや、豆と米を一緒に炊いたものは赤飯みたいな味がして、なかなかおいしいです。
ほとんどの家庭にガスはないので、屋外で薪や炭を使って調理されます。(ちなみに私の家にはありがたいことに、電気・ガス・水道があります。…停電、断水はしょっちゅうですが。)
家族みんなで一つのお皿から手を使って食べます。
食材は市場まで買いに行きます。季節や地域によって買える物にはかなり差があって、Leoで現在購入可能な野菜は、玉ねぎ、キャベツ、オクラ、トマト、ナス、ピーマンなどです。ジャガイモが売ってないかわりにタロイモをポテトサラダにしたりして、ジャガイモと思って調理しています。
3月から6月はマンゴーのシーズンで、おいしいマンゴーが安く買えます。
片手大のマンゴー1つで50fCFA(約12円)、家の庭になってるのならもちろんタダです。種類もいろいろで味もいろいろ。かなり堪能しました。
露店では落花生や揚げドーナッツみたいなお菓子が買え、リヤカーを引いて冷たい飲み物を売っている人もいて、ハイビスカスのジュースや、いもの粉を水で溶いたもの、飲むヨーグルト(みたいなもの)、生姜のジュース、水道水が買えます(ミネラルウォーターを売ってるところもあります)。
コーヒーは『ネスカフェ』、紅茶は『リプトン』と呼ばれ(たとえ違う種類であってもこう呼ばれます…)、みんな、砂糖を5個くらい入れて激甘のものを好んで飲んでいます。『カフェオレ』をお店で注文すると、たっぷりの練乳をお湯で溶いたものに、少しだけコーヒーの粉を入れたものが出てきて、これもまた激甘です。男の人がよく飲んでいる『中国茶』は、緑茶の葉をグツグツ煎じて飲むのですが、これにも大量の砂糖が入っています。
日本っぽいと思っていた「オクラ」がよく食べられているし、豆を発酵させて作ったちょっと独特のにおいのする食べもの…納豆ににた、「スンバラ」という食品もあります。
日本からはかなり離れているのに似た食べ物があるのはなんだかうれしいです。
先日、日本のカレーを作ったら、結構好評でした。
日本とはかなり違う文化、境遇にあるこの国ですが、周りの同僚や近所の人、街の人たちにいろいろ助けてもらいながら、結構楽しく生活しています。
それでは、お体に気をつけて。

ブルキナファソ Vol.1 写真4
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